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子どもの自殺が過去最多—追い詰められた子どもの心を開放する3つの方法

★心の健康

2024年、日本の小中高生の自殺者数は過去最多の527人に達しました。私のもとにも「子どもが自殺未遂をした」という親からの相談が寄せられることがあります。その中には、親のある言葉や態度が子どもの心に深く刺さり、それが思い込みとなって追い詰められてしまったケースもあります。

子どもの心にプログラムされる「親の言葉」

実は、親の何気ない言葉や態度は、子どもの心に深く刻まれ、それがまるでコンピュータに書き込まれたプログラムのように、子どもの考え方や行動を無意識のうちに支配する事があります。

親の言葉が子どもの思い込みになり、追い詰める

  1. 「お前は橋の下から拾ってきた」「生むんじゃなかった」などと言われた子ども
    • 「自分は迷惑な存在なんだ」と思い込み、「私は存在しない方がいい」と強い自己否定を持つようになります。
  2. 誰かと比較されたり、親の理想を満たせないと「お前は駄目だ」「クズだ」「馬鹿だ」と言われ続けた子ども
    • 無意識に「私は価値がない」と思うようになります。
  3. 親に無視されたり、虐待された子ども
    • 「どうせ誰も私を愛してくれない」と思い込むようになります。

A子さんが見つけた「自分の居場所」

自殺未遂後、A子さんは不登校になりました。母親は最初、「こんなはずじゃなかった」「学校に行かせなければ」と焦っていましたが、相談を重ねる中で「A子にとって大切なのは、今安心できる環境を見つけること」と気づきました。

その後、A子さんはフリースクールに通い始め、そこで初めて「完璧でなくてもいいんだ」と感じることができました。自分を受け入れてくれる人たちの中で少しずつ心を開き、最終的には大学まで進学しました。

追い詰められた子どもの心を開放する3つの方法

  1. 子どもに「許可」を与える
    • 子どもは、親が設定した「良い子」の基準を満たせない自分には価値がないと思い込み、自分を責めてしまいます。だからこそ、「もう、頑張らなくてもいいよ」「あなたは、ただ生きているだけで価値があるよ」と伝えてください。
    • 子どもは、「泣くのは弱いこと」「泣いたら負け」「誰にも迷惑をかけてはいけない」と思い込み、歯を食いしばって耐えていることがあります。「泣いてもいいよ」「助けを求めても大丈夫だよ」と、安心して気持ちを表現できるよう許可を出してあげてください。
  2. 聞く力を育てる
    • 子どもが話したとき、すぐにアドバイスせずに「そう感じていたんだね」と受け止める。
    • 「あなたが悪い」とか「なぜ、そうしなかったの」などと価値判断をせず、子どもの気持ちに寄り添う。
  3. 親自身の言葉を振り返る
    • 「自分がかけている言葉は、子どもにどう響いているか?」と意識する。
    • 「本当にこの言葉は必要か?」と考え、余計なプレッシャーを与えないようにする。

子どもの行動問題の多くは家族の関係性の歪みを表現している

ほとんどの場合、子どもの行動問題の原因は、子ども自身にあるのではなく、家族にあります。子どもは家族の関係性の歪みを表現しているのです。そのため、子どもだけを変えようとするのではなく、家族全体の関係性を見直すことが重要です。

「生きていていい」と伝えることが何よりのサポート

親の何気ない言葉が、子どもの未来を左右することがあります。「生きていてくれてありがとう」「あなたはそのままでいい」と伝えることが、子どもにとって最大の支えとなるでしょう。

あなた自身の生きづらさも、ここに原因があるのかもしれません

ここまでお読みになり「私も過去に子どもに厳しい言葉をかけたり、傷つけてしまった」と感じた方はいませんか?
それと同時に、「私自身の漠然とした落ち込みや辛さも、過去に受けた親の言葉や態度が影響しているのでは?」と感じていませんか。

子育てを振り返り、反省することはとても大切ですが、決して自分を責めすぎないでください。
実は、子育ては世代を超えて、同じパターンを繰り返してしまうことが多いのです。
あなたが子どもを追い詰めてしまう言動の背後には、あなた自身が親から受けた子育ての記憶があり、それを無意識のうちに繰り返している可能性があります。


自分で難しい場合はご相談ください

もし、家庭の中でどのように関わればいいかわからない、子どもとの関係に悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに相談してください。サポートを受けることで、親自身も心を軽くしながら、子どもにとってより良い環境を作ることができます。

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