世界中が感染症によるパンデミックを経験したことで、私たちの健康に対する意識は大きく変わりました。症状を止める対処が主流である中、将来的な未知の副作用を心配する必要もなく、自然な治癒力だけで感染症を乗り越える方法への関心が広がっています。
今回は風邪やインフルエンザに対する自然療法の活用法を紹介します。
薬草療法(Herbal therapy)
薬草療法は、風邪やインフルエンザの治療において、長い間、世界中の多くの文化で伝統的に使用されてきました。これらの自然由来の治療法は、世代を超えて継承され、日常の健康管理に役立てられています。近年、科学的研究がこれらの薬草の一部に光を当て、その効果を証明するケースも増えています。
エキナセア (Echinacea)
- 主な薬効成分: フェノール化合物、アルキルアミド、ポリサッカライド
- 効果とメカニズム: エキナセアに含まれるこれらの成分は免疫系を刺激し、特に風邪や上気道感染症の早期に有効とされます。フェノール化合物は抗酸化作用を持ち、アルキルアミドは免疫応答を調節し、ポリサッカライドは免疫系の細胞に直接作用する可能性があります。
- 使用方法: 薬草酒(マザーチンクチャー「エキネシア」)をコップの水に5~15滴程度垂らして摂取します。
ホメオパシー〔同種療法〕(Homoeopathy)
ホメオパシーは「同種の法則」と呼ばれる原理に基づいています。例えば、ある物質が健康な人にインフルエンザの様な症状を引き起こす場合、その物質の極めて希釈されたレメディーにして、似たようなインフルエンザの症状を持つ病気の人に投与する事で治すことができるとするものです。
ホメオパシーの原理や効果は、また科学的に証明されていないにも関わらず、世界的には数百万人から数億人が何らかの形でホメオパシーを利用したことがあると推測されています。
ヨーロッパ、特にフランス、ドイツ、イギリスでは、ホメオパシーは比較的広く受け入れられており、これらの国では人口のかなりの割合が生涯に一度はホメオパシーを使用した経験があると報告されています。
インドではホメオパシーは主要な医療システムの一つとして認められ、広く普及しており、多くの人々が利用しています。
【高熱】
◯アコナイト(Acon)
インフルエンザの初期症状。突然の寒気。突然の発熱、不安、乾燥した熱感など。
◯ファーラン・フォス(Ferr-p)
初期の風邪やインフルエンザ症状。微熱。悪寒。
◯ベラドンナ(Bell)
急激な38度以上の高熱、顔の赤み、熱感、光や騒音に対する敏感さなどの症状。
【悪寒がある】
◯アーセニカム(Ars)
寒気、疲労感、不安感が伴う場合。
【身体の痛み】
◯ユーパトリウム(Eup-per)
全身の痛み、特に骨や筋肉の痛みのインフルエンザ。
◯ラストックス(Rhus-t)
筋肉痛や関節痛をともなうインフルエンザ。じっとしていると痛みが増し、動くと楽になる。
【咳がひどい】
◯ブライオニア(Bry)
乾燥した痛みを伴う咳。動くと痛みが増す。
◯フォスフォラス(Phos)
声がかすれて喉に痛みを感じる乾燥した咳。遺伝的な肺の弱さ。
【息苦しさ】
◯アンチモター(Ant-t)
気管支や肺の粘液。ゼーゼーとした呼吸をする場合。
◯カーボベジ(Carb-v)
息苦しさ。弱い声。冷たい肌。消化不良。
【体力の消耗が激しい】
◯チャイナ(Chin)
長期間の病気。発汗や嘔吐、下痢で体液が喪失した事による疲労感。
≪レメディー(砂糖玉)の取り方≫ 1)ボトルを開け、キャップにレメディーを1粒だします。 2)キャップに入ったレメディーを口に入れます(レメディーに触れない方法が一般的)。 3)砂糖玉を舌の下に置き、ゆっくりと溶かします(舌の下は吸収が良いため、この方法が推奨されます)。 4)レメディーは食事や飲み物、特に強い味のもの(コーヒー、ミントなど)で効果が半減、または打ち消されるといわれています。摂取する30分前後は避けて取るのが理想的です。 使用量と頻度: ホメオパシーの原則では「少ないほど良い」とされます。最大3回までリピート。もし、症状が改善されているなら使用を停止します。
民間療法(Folk remedies)
民間療法は、長い歴史とともに、各地域の文化に深く根ざして発展してきました。
民間療法は、伝統的な知識、地元の植物や自然素材、そして祖先から受け継がれた実践に基づいており、多くのコミュニティで健康を維持し、病気を治療するために使われてきました。
近年、科学的な研究によって、一部の民間療法で使われる薬草の成分や手法が、実際に健康に対して有益な効果を持つことが示されています。
ガーリック(ニンニク) (Allium sativum)
- 主な薬効成分: アリシン、他の硫黄化合物
- 効果とメカニズム: ニンニクに含まれるアリシンは強力な抗菌・抗ウイルス特性を持ち、多くの病原体に対して幅広い効果を発揮します。血液循環を改善し、免疫系の機能を強化する可能性があります。
- 使用方法: ハチミツのニンニク漬けを1日1片程度食べたり、ハチミツをティースプーンで摂取したりします。風邪の初期症状がある時に摂取すると効果的とされます。
ハチミツ(Honey)
ハチミツは古来からさまざまな文化で風邪やインフルエンザの症状緩和に用いられてきました。以下は、ハチミツが風邪やインフルエンザに及ぼす可能性のある効果や効能です。
- 喉の痛みの緩和
ハチミツはその自然な粘性と抗炎症特性により、喉の痛みや刺激を和らげるのに役立ちます。特に咳がひどい時や寝る前にハチミツを摂取すると、喉の不快感が軽減されることがあります。 - 抗菌作用
ハチミツには自然な抗菌特性があり、特にマヌカハチミツに含まれるメチルグリオキサールは、強力な抗菌作用を持つとされています。これにより、風邪やインフルエンザの原因となる微生物の増殖を抑える助けになる可能性があります。 - 咳の緩和
いくつかの研究では、ハチミツが咳を抑えるのに有効であることが示されています。特に夜間の咳を緩和し、より良い睡眠を促進する効果があると報告されています。 - 抗酸化作用
ハチミツには抗酸化物質が含まれており、体内の自由基から細胞を守り、免疫システムを強化するのに役立つとされています。
風邪・インフルエンザの秘薬「ニンニクはちみつ」
【ニンニクはちみつの作り方】
≪材料≫
*生ニンニク: 1頭(またはお好みで量を調整)
*生ハチミツ: 適量(ニンニクを覆うだけの量)
≪手順≫
1)ニンニクの準備: ニンニクの皮を剥き、必要に応じてスライスまたは粒のまま使用します。スライスした方が成分がハチミツに浸出しやすくなりますが、粒のままでも時間が経てば成分は抽出されます。
2)瓶の準備: 清潔な瓶を用意し、消毒することをお勧めします。瓶を熱湯で洗浄するか、食器洗浄機で消毒します。
3)漬け込み: ニンニクを瓶に入れ、上から生ハチミツを注ぎます。ニンニクが完全にハチミツに浸かるようにしてください(ニンニクが空気に触れていると腐敗します)。
4)密封と保管: 瓶の蓋をしっかりと閉め、常温で暗所に置いて保管します。冷暗所でも構いませんが、ハチミツが固まりやすくなります。
5)漬け込み期間: 最低でも1ヶ月は漬け込むことをお勧めします。この期間中、瓶を時々振ってニンニクとハチミツがよく混ざるようにしてください。
※注意1:1歳未満の乳児にはボツリヌス菌のリスクがあるため、ハチミツを与えないでください。
※注意2:保存期間は、保存条件に左右されます。製造、保存が適切な場合、数ヶ月が目安です。
※症状が重い場合や改善しない場合は、自己判断での治療を避け、医療機関にご相談ください
※感染症の回復後やワクチン接種後に体調がすぐれない場合は、医療機関へ相談するか、経験豊富な自然療法家への相談をご検討ください。
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